ラナ園のお茶会

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「当家の治癒師のことですが、実は魔塔主様の直弟子なのです」 「それは帝国法に反するのでは? 魔塔に治癒師協会へ関与する権利はなかったはずです。それに魔術師と一般人が皇家の許可なく関わることは禁じられている。魔術師である魔塔主様が一般人の治癒師を弟子にとるなど」 「ユーリック殿下はご存じですので問題ありません。ただ、皇帝陛下は魔術師嫌いでいらっしゃるからお伝えしておりませんけど」 不穏な会話にも関わらず、タミア様とソニア様はフフッと穏やかにほほ笑みあっている。彼女の言葉を信じるなら、皇帝陛下と皇太子殿下の間にも秘密が存在するということだ。 近年、帝国貴族の中には皇帝派、皇太子派を名乗る者が出てきている。どうやらアルヘンソ辺境伯家は皇太子派なのだろう。アルヘンソ辺境伯は皇太子殿下の叔父なのだから当然といえば当然だ。不思議なのは、なぜ陛下にも秘密にしていることをおれにまで話すのかということだ。
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