ラナ園のお茶会

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もしかして、デ・マン子爵家を皇太子派に引き入れようとしているのだろうか。長兄は子爵家を継いで領地で奔走しているし、次男はおれと同じく騎士だが剣術の才がなく領地の治安隊に甘んじている。おれがアルヘンソ領に足を踏み入れたのはたまたまだが、この機を利用して子爵家を丸め込もうと―― 「デ・マン卿、考え過ぎは老いの元。時には直感で動くことが未来を切り開くこともあります。騎士であればむしろそういうことの方が多いのでは? 敵が剣を振りかざしているのにそれを前に考え込んでいては困ります。リアーナ様もそう思いませんか?」 リアーナ様はわずかに微笑んだようだった。その微笑はタミア様の次の言葉で儚く消える。 「リアーナ様、今お飲みになったのはラナの葉を使ったお茶です。ラナの葉はローナンド侯爵家が独自の精製法で密造し、帝都で広めようとした麻薬〝ラナ・ローク〟の材料」 スサンナが日傘を投げ捨て、リアーナ様の震える手を支えた。こぼれたラナ茶がテーブルクロスを濡らし、スサンナの手に導かれてリアーナ様は濡れたテーブルにカップをおろす。 「……ラナ・ローク?」
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