ラナ園のお茶会

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リアーナ様は居心地悪そうに視線を泳がせている。 「リアーナ様、来週にはユーリック殿下との離婚手続きが終わるとお聞きしました。その後どうするかもうお決めに?」 「……おそらく、フェルディーナ公爵家に」 尻すぼみに答えながら、リアーナ様はゆっくりとうつむいた。 表向きには彼女の麻薬使用が伏せられているとはいえ、離婚を進めるにあたりお父上であるフェルディーナ公爵閣下には真実が伝えられている。リアーナ様が皇家直轄領の別荘に移られてすぐに面会に来られたけれど、やつれた娘を心配しつつ困惑気味の表情で早々に帰っていった。離婚で皇家との姻戚関係がなくなっても、今後フェルディーナ公爵家は皇家に頭が上がらないはずだ。 「離婚してしまえば皇家の別荘にはいられないでしょうけど、リアーナ様さえ良ければしばらくアルヘンソ家で静養してはいかがです?」 タミア様の提案でリアーナ様は希望の光を見たようにパッと顔をあげた。けれど、そのあと不安そうにまた顔をうつむける。皇宮にいたときは傷つきながらも周りを安心させようと気を張っていたけれど、今はそれがプツンと切れてしまったようだ。
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