ラナ園のお茶会

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「リアーナ様。わたしたちはユーリック殿下がリアーナ様をどのように扱って来たか当人から聞き及んでおります。いくら忙しいからといって妻をずっとほったらかしにするなどあり得ません」 その「忙しい」が花街通いで忙しいということは白状していないらしい。 「わたしたちはリアーナ様の味方ですのでご安心下さい。なんならアルヘンソ家に嫁いでいらしてもよろしいのですよ」 「えっ!」 思わず声が出て、おれは慌ててゴホンと咳払いをする。リアーナ様は困惑気味にスサンナと顔を見合わせ、アルヘンソ姉妹はおれの反応に声をあげて笑った。 アルヘンソ家に嫁ぐとなれば相手はこの姉妹の兄であるランド・アルヘンソ。 彼はおれと同じく紫蘭騎士団員だが、皇太子殿下の補佐官であり〝紫蘭騎士団最強の男〟と言われている。屈強な体に卓越した身体能力、加えて皇妃宮や皇太子妃宮の侍女たちが噂するほどの男前。逆立ちしたっておれに勝ち目はない。 「やはりデ・マン卿はおもしろいわ。ソニアもそう思わない?」 「そうね。せっかくだからリアーナ様だけでなくデ・マン卿も舞踏会に招待してはどうかしら?」 「舞踏会ですか?」
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