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リアーナ様の麻薬使用が皇太子殿下によって明らかにされた日のこと。リアーナ様の幼馴染であるローナンド侯爵令嬢が麻薬取引に関わっていたという事実も判明した。ローナンド家の養女だったその令嬢はリアーナ様を利用するために近づいたようだが、その日、ローナンド家が雇っていた暗殺者によって口封じのため殺された。
リアーナ様が心を閉じてしまったのは皇太子殿下のせいではなく、幼馴染を失ったせいだろう。幼馴染だと言うあの女は暗殺者の放った毒蛇で全身を青黒く変色させ、リアーナ様の腕の中で息をひきとった。
皇宮敷地内で起きたその事件についても緘口令が敷かれ、あの場にいたおれもリアーナ様もスサンナも事件のことは一度も話題にしない。だが、「どこかで生きてくれているなら」と言ったリアーナ様の頭には、きっとあの女のことがあったはずだ。
「スサンナもデ・マン卿がいなくなるのが寂しいのね」
「ええ……、ええ。リアーナ様。寂しくてなりません。わたしは何があってもリアーナ様についています」
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