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スサンナのように「おれもついています」と言えたらいいが、実際そうするには紫蘭騎士団を辞めなければならない。そうしたところでリアーナ様に仕えられるとは限らない。彼女のご実家のフェルディーナ公爵家が護衛を手配するとしても、おれを選んで皇太子殿下に睨まれるようなことはしないはずだ。
姉妹はおれの様子をじっと観察しているようだった。おれの秘めた気持ちに気づいていながら、リアーナ様の後ろで一喜一憂する姿を見て愉しんでいるとしか思えない。
その日、リアーナ様はラナの葉と招待状を姉妹から受け取り、帰りの馬車に乗り込んだ。週明けには離婚に関する最終手続きのため皇太子殿下が皇家直轄領の別荘を秘密裏に訪れることになっている。そのときにおれの処遇も言い渡されるはずで、リアーナ様の護衛騎士でいられるのはあとわずか。
おれは皇家の別荘への帰路、水平線に浮かぶ島影をながめながら馬上で一人ため息を漏らした。
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