燃え上がるのは恋だけじゃない?

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燃え上がるのは恋だけじゃない?

 ノードが寝泊まりしている離れ屋一階の部屋は、乱れたベッドと大きなテーブルがひとつ置かれているだけだった。テーブルには人工ダイヤモンドがいくつか転がっていて、ノードはそれを片手で集めて亜空間にしまい、代わりにジャム瓶を取り出す。 「ついにやるんですね。魔塔主様もかなり疲れてるでしょう? 大丈夫ですか?」  ゼンはさほど心配してなさそうな顔で言う。 「魔力ゼロ男と一緒にしないで下さい。それよりゼン、魔法陣をお借りしても?」  ノードが寄越せというように手を出すと、コトラが「こちらです」と亜空間から丸めた紙を取り出した。テーブルに広げられた紙には直径一メートルほどの魔法陣が描かれている。 「魔塔主、他人の魔法陣を借りるなんて正気か?」  ジゼルが素っ頓狂な声をあげた。 「もちろん正気です」  躊躇いなく答え、ノードは亜空間から次々と材料を取り出してゼンに手渡していく。今日採ってきたばかりの真っ黒な世界樹の枝が二本と、ジャム瓶の中のあたしの骨。ヒビ割れたピアスは金具部分が外してある。瓶に一緒に入れていた精霊石は「お守りです」とあたしの手に握らせた。
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