憑依実験と石榴宮の新しい執事

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平民出身のゾエは、ガルシア公爵が主導して行った平民教育施策の青空教室で見出した天才少女、っていう設定だった。いつも無表情で、ナリッサの回帰前も回帰後も淡々と自分の責務を果たすだけ。ナリッサとガルシア公爵の親子関係は知らないはずだ。 回帰前を描いた序章にゾエは登場しなかったけれど、たぶんナリッサの処刑が決まるその日まで傍観してたんだろうな――と考えたら急に怒りが湧き上がり、と同時に閃いたことがあった。 思いついたら即実行! あたしはゾエに向かって跳躍した。 もしゾエに憑依できたらとりあえずガルシア公爵に会うようナリッサに提案してみよう。もしくはあたしがゾエのふりをしてガルシア公爵に掛け合おう、などと一瞬のうちに算段したにも関わらず、あたしの幽体はゾエの体を素通りして部屋の外に出てしまう。まあ、半分くらい予想してたけど。 振り返った先にゾエの背中、その向こうに額を抑えて呆れ顔を誤魔化すノード。 近い未来のノードの尋問に説教が加わることを予測し、あたしの脳裏にはこのまま逃亡してやろうかという考えが過る。 だって、ノードがいるからいいじゃない!
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