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彼女は左手首の袖口をめくってみせた。二連になった細いチェーンのブレスレットにキラリと透明な石が輝いている。あれはおそらくマナ石。
「魔獣専用の魔力探知用魔法具ですね。熱反応するタイプのようですが、帝都で身に着けている方は珍しい」とノード。
ゾエは袖口を戻すと、いかにも家庭教師然とした態度でノードをまっすぐ見つめた。彼女の観察対象はジゼルから魔塔主に移ったようだ。
「わたしがガルシア公爵様に良くしていただいているせいか、以前魔獣を使って襲われたことがあります。そのため危険が迫ったら逃げるようにと公爵様から渡されました」
公爵様に良くしてもらっただけで平民の家庭教師が襲われるなんて物騒な世界。と思ったけれど、ノードが眉をひそめているから頻繁にあることでもなさそうだ。
「ゾエさんが襲われたのは帝都でですか? 帝都にペットとして持ち込める魔獣の魔力はかなり低く設定されているはずですが」
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