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「わたしを狙ったというよりも、ガルシア公爵様の情報を持っていそうな者なら誰でも良かったのでしょう。その中でわたしを選んだのは少々愚かと思いますが」
理由を問いかけるようにノードが首をかしげた。
「剣の腕は騎士並みだそうよ」
答えたのはナリッサだった。ゾエは恐縮した様子で頭を下げる。
「十三、四の頃はガルシア公爵邸で小公爵様の剣術のお相手をさせていただいておりました。もう何年も剣は握っておりませんし、騎士でも貴族でもありませんので帯剣はできませんが、護身用魔法具があれば自分の身を守るくらいのことは」
ふうん、とジゼルが興味をそそられた顔で唸り、ナリッサの腕から降りてゾエの元へ歩いて行く。ゾエは前屈みになり、ジゼルの頭にそっと指先で触れた。
「この魔獣は持ち込み基準ギリギリの魔力を持っているようですね。魔獣生息域から遠く離れた帝都ではいずれ浄化されて普通の猫になってしまうのでしょうが」
そういう設定だったの?
と、あたしは頭の中で小説の作者にツッコミを入れた。作中ではそんな説明一切なかったし、ジゼルの魔力が減るなんてこともなかった。
「あ……」
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