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「エンドー様、ラランカラの花が日持ちするのはご存じでしょう? ナリッサ様の誕生日は三日も前です。風邪で寝込まれている間に過ぎてしまいました」
「……そうなんですか」
エンドーはがっくりと肩を落とし、ポピーはまた口元をほころばせる。ぽっちゃり体形のポピーと若くて痩せぎすのエンドーのやりとりは姉と弟みたいでなんだか微笑ましい。
「皇女様は十四才になったばかりなんですね」
エンドーがどこか感慨深げにつぶやいた。そのとき複数の足音が聞こえ、まっ先に広間に飛び込んで来たのはジゼル。
突然の闖入者にエンドーはラランカラの活けられた花瓶を守ろうと両手を広げ、それが月光の庭園にいたあの白猫だと気づくとホッと緊張を解いた。
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