ダンスレッスンと公爵家からの手紙

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あたしが一階と二階の中間あたりに浮いたままでいると、ノードは小さく肩をすくめて背を向ける。部屋の奥に引っ込むことはなく、後ろ姿があたしを待っているような気がした。 「ノード、あたしが逃げたと思いました?」 ノードはわずかに首をかしげる。 広間ではナリッサがエンドーを相手にダンスの練習をしていた。時おりゾエが手本を見せるためナリッサと入れ替わり、扉の前に立っているポピーはナリッサが躓くたびグッと体を揺らす。 目の前にいる三人にはあたしがまったく見えていないと思うと、太陽の下で活動していることがなぜか申し訳なくなってくる。この世界のすべてが眩し過ぎて、人々は生き生きとして、その中であたしだけが死んでいる。 「踊りたくなりましたか?」 ノードが庭園を見るふりをして耳元で囁いた。いつの間にかあたしの手は彼の腕を掴んでいる。 「あの人たちを見てたら、あたし死んでるんだなあって思っただけです」 なんとなくノードの顔を見たくなくて、あたしは踊るナリッサをじっと見つめていた。 このナリッサは死んだら回帰するのだろうか。
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