ダンスレッスンと公爵家からの手紙

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小説『回帰した悪女はお兄様に恋をする』のラストでユーリックと結ばれた主人公ナリッサ。物語の続きが描かれることはないけれど、死んだ時はどうなるのだろう。きっと作者はそんなこと考えていないし、老衰で死んだあと召喚術の真っ最中に戻ったりしたらラブコメじゃなくてホラー小説だ。 ふと、ナリッサの回帰にノードが関わっているのではないかという考えが頭を過ぎった。小説で描かれない未知の領域を好き勝手想像するのは読者の特権。 「魔塔主様」 ゾエの声であたしはハッと現実に引き戻される。現実――、そう、たぶんこの世界はもう現実で、たとえ幽霊だとしてもあたしはこの世界の登場人物。 「なんでしょう、ゾエさん」 「よろしければナリッサ様のダンスのお相手をしていただけませんか? わたしとエンドー様が踊るところを見ながら、ナリッサ様もそれをマネて練習できればと思うのですが」 「わかりました。皇女殿下のパートナーを務めさせていただけるなんて光栄です」
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