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腕の中から這い出したらしいジゼルがあたしの頬を舐める。あったかいような惨めなような、そんな気分のまま意識が遠のいていく。
「この有様は何?!」
ヒステリックな少女の声が、辛うじてあたしの意識を現世に引き留めた。正直なところ、すでに現世でもないんじゃないかという気がする。もう痛みも感じていないから。
「も、申し訳ありません、ナリッサ様!」
いかにも小物っぽい卑屈な男の声。
「少々術式にミスがあったようです」
今度はいくぶん落ち着いた雰囲気の若い男の声がした。推し声優の声に似てるせいか生存欲求がむくむくと湧いてくるけど、御尊顔を拝し奉りたくても瞼が持ち上がらない。死ぬ前にせめて一目。
「ミス!? わたしのせいだっていうの?」
「いえ、気にする必要もない些細なミスです」
「どこが些細なのよ! 悪魔の召喚に人間の死体がくっついてくるなんて、聞いたこともないわ!」
オエッ、と少女はえずいたようだった。
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