猫を助けて死ぬとかベタではなく稀有な体験だよね

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「さらに高位の悪魔を召喚するならば、今回のような些細なミスでも命取りになりかねません。わたしどもはあくまで補佐。契約者であるナリッサ様が自らの力で召喚した者の上位に立たなければならないのです」 「そんなこと言われなくてもわかってる! でも、わたしはその男が教えた通りにしたの!」 「この者は解任いたします。ナリッサ様の魔術指導は別の者に」 「ノード、あなたが直接教えてくれるのが一番だと思うんだけど。魔塔主であるあなたが」 「これは、無理をおっしゃる」 クスッと漏らした声が色っぽい魔塔の主、ノード。 倒れたままで目も開けられないし、顔を確かめるのは無理だけれど黒髪に紺碧の瞳を持つイケメン魔術師のはず。まさか小説の中のあたしの推しが、推し声優の声を持っているなんてそんな奇跡ある? なんで走馬灯のくせに映像で見れないの?  見れたら大人しく成仏するのに! ニャア、という声とともに頬を舐めていたザラザラした舌が離れた。 「猫のフリなんてそろそろやめて本性をお見せください。あなたのことを教えていただけますか?」
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