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ちなみに「おれが考えた小説の世界」ではあるが、おれはこの小説を書いていない。設定を壮大にし過ぎたせいで物語に手がつけられず放置。塔のように積み上げられた構想ノートの最下部へと追いやられて数年。あの構想ノートはオカンに見られただろうか。行方不明になったおれの捜索の手がかりとして警察に読まれただろうか。
あれは創作のためのものであって捜索のためのものではないのだ、とオヤジギャクに満足するおれはメンタル強者の自信がある。
どうせならあの構想ノートは創作仲間のアノ子の手に渡ってるといい。次に会ったときにはキスくらい、と密かに考えていたのに。
アノ子のことを思い出したとき、メンタル最強のおれはひとつの野望を抱いた。リンドバーグ夫妻にもう一度子作りをがんばってもらい、跡継ぎができたら隣国グブリア帝国にある魔塔に行こう。世界樹の精霊の加護を受けた魔塔主なら、おれを元の世界に戻せるんじゃないだろうか、と。
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