「リンドバーグ子爵令息、婚約破棄される」の巻

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それはリンドバーグ夫妻にあなたにはない〝優しさ〟というものが溢れているからですよ。 「そういえば、あなたの妹の魔力はすごいんですって? わたしという後ろ盾がなくなって魔力ゼロのあなたは生きづらくなるでしょうけど、魔力のある妹がいればリンドバーク家は安泰ね。わたしも罪悪感に苛まれずに済みそうだわ」 あなたとの婚約がなくなればおれは晴れて自由の身。ちなみにあなたに欠けているのは〝優しさ〟と〝罪悪感〟だと思っているのですが、ご自覚がない? 「みなさんお騒がせしました。どうぞ舞踏会を楽しんで下さい。わたしたちも踊りましょう、ジョージ」 騒がせたのはおまえで、身を犠牲にして偏見まみれの貴族を楽しませたのはおれだ。 勝手に踊るがいい。どうせおまえらはおれが考えた世界の人間。おれの手のひらの上だ。おれはこの世界を知っている。いずれこのギャクハ―王国にも、おれの考えた世界設定の影響が出てくるはずだ。そうなれば優雅にワルツを踊ってなどいられなくなる。 ――やはり、おれは魔塔主に会うしかなさそうだ。
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