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お行の松と彰義隊の埋蔵金
一
東京の根岸という所にお行の松という名の松の古木がある。
枯れたりしたので現在の松は四代目に当たるが、この松には彰義隊の埋蔵金に伝わる不思議な話が伝わっている。
新政府軍を名乗り、東海道、東山道を進撃し江戸に到達した薩長諸藩は江戸城総攻撃の準備を着々と進めていた。
しかし寸前で田町の薩摩屋敷に於ける西郷・勝の江戸無血開城の談判によりギリギリの所で攻撃は中止となる。
これにより降伏と決まったが、納得出来ないのが、三河より家康に付き従ってきた譜代の旗本達である。
家康の御代より二百数十年徳川の世を守ってきた彼等にしてみれば、何ら戦いもせず降伏するなど言語道断であった。
彼等は頭取を渋沢誠一郎、副頭取を天野八郎と決め、彰義隊を結成。名の由来は「大義を彰(あきら)かにする」という意味である。
これにほくそ笑んだのが大村益次郎だった。大村は江戸市中の反政府分子の掃討の好機と捉える。
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