一 章  不思議な仲間が 集まって

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「失礼します」  ミドリさんは礼儀正しく扉を開け、丁寧に一礼する。  そっと様子をうかがうと、中で保健の白鷺先生が「あら?」という顔をしていた。美人で人気の先生だけど、僕らと週一の面談をする時はいつも少し困った顔をする。 「星影さん。定例のカウンセリングは、明日の午後ではなくって?」 「ええ、きょうは別件ですの。実は片山センセの伝言で参りました」  片山は体育大卒業の肉体派体育教師、イケメンで有名だ。 「白鷺センセに緊急のお話があるそうです。体育備品室で十分後にお待ちしてます、誰にも見つからないように来てください、と」  ミドリさんが窓の外を「ずびしっ」と指さす。  グラウンドを対角線に横切り、学校プールのそのまた向こう。備品室というよりスポーツ用具の廃品の保管所で、壊れた陸上ハードルやら傷んだマットやらが積まれ、ふだんは生徒も近寄らないプレハブ小屋だ。 「まあ、いったい何の用件でしょう」 「さーあー? 急いでいるみたいでしたよ。『例の件』とかで」  いたずらっ子のようなミドリさんの言葉に、先生がおろおろし始めた。 「すぐに行かないと。でも今は生徒が中で寝ていて……」 「じゃあ、私が留守番をします。あ、私はいつもの頭痛でーす」 「そう……星影さん、薬は上の棚だから。ゆっくり休んでね」 「いってらっしゃーい。お気をつけてっ!」  ミドリさんは、ニコニコしながら手を振る。白鷺先生は鏡でちょっと顔と髪の毛を確かめた後、外を軽くうかがってから、小走りに廊下に出ていった。
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