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「な……。何だ何だこれは。夢か?」
「オレは、ジョー。夢じゃないよ、おっさん。おっ。そうだ、おっさんに選んでもらうのもアリか」
「何をだ」
「背中のデザインだよ。みんな個性的だろ? みんな自信作を背負ってるんだ。このカラーでよそに行ったって、ゴキブリだぁなんて騒がずに、珍しがられていいぞ。写真映りもなかなかなんだぜ。
今日は今年一番のデザインを選ぶ、第一回のコンテストなんだ」
ジョーがそう説明すると、集まった白いゴキブリたちはみんなこちらを向いていた。
「いっやぁ……。たまげたな。こんな夜中に沢山の虫に見つめられっと、さすがに怖えぇな。
コンテストか。ま、何でもええ。これ使えや」
山上は丸い卓袱台の上のカップ麺を排除し、ゴキブリたちに舞台を貸してやった。
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