コンテスト

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「ナイスなアイデアだ、おっさん」  百以上集まったゴキブリたちが、卓袱台の上を左から右に通り抜ける。真ん中に来たとき一瞬立ち止まってくるりと一周。ひとつひとつ違う鮮やかなカラーリングは、山上の目を楽しませる。そしてゴキブリのパフォーマンスに驚きながらも、山上は大役を任された手前、熱心に一匹ずつ出来映えをチェックした。 「どう? 背中のこのエメラルドグリーン。まるで宝石みたいに美しいでしょ」 「俺は男っぽくビビっと稲妻を走らせてみた」 「おれは青と白と赤。人間たちはトリコロールカラーって呼んでる。結構気に入ってんだ」 「私は手足と触覚をピンクにして、背中はハートマーク。可愛いでしょ?」  舞台の上で、背中を見せながらアピールするゴキブリたち。時計の針は深夜の三時をさす。通り抜けるだけでかなりの時間を費やした。そして百十数番目の最後の一匹が卓袱台からぴょんと飛び降りたときーー。 「はぁ、これで最後か。百匹ともなると結構時間かかるもんだなぁ。もう眠いよ……」 「はっはっは。それはおっさんちが元々汚いからこんだけ数が集まったんだろ。オレが言うことじゃないけどよ、ちっとは掃除しな。おっさん」
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