コンテスト

3/3

10人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
「俺もよ。もう七十を越えて今更だけど、近所のやつらに嫌われ者のレッテルを貼られてる。この家は親からもらった小っちゃい平屋だけど、住むところがあってとても助かってる。最初は綺麗だったけど掃除とか片付けが面倒で、いつのまにかこんなになっちまってなぁ。近所からは〝ゴミ屋敷んち〟って言われる始末で、だぁれも口も聞いちゃくれね」  百匹のゴキブリたちは、触覚をピクピクさせて山上の話を聞いている。立場こそ違うものの、ある意味共感しているようにもみえる。 「おっさん。おっさんも生まれ変わってみたらどうよ。オレたちみたいに」 「そんな今更ーー。そんなことしたら笑われちまう」 「おっさんの場合、自分っていうより、家の外を明るくしたら印象変わるよ」 「そうよ! 外側を綺麗に塗ったら雰囲気変わるわ。どう? 私みたいなピンク色はーー。うふふ」 「なら、おっさんおっさん! ボクらと同じ絵柄で家を塗るってどう?」 「あー、いいね!」 「家をお前さんたちと同じ柄でか? 気恥ずかしいが、ま、楽しそうだな」  えっへん! 「まずは選んだ三つを教えるのが先だよ、おっさん」
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加