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仲間
翌日。ジョーは山上が寝たあと、暗いキッチンの棚からひょっこりと顔を出した。宣言した通り、ジョーは上から下まで白く輝き、裾にワンポイントをこしらえていた。
「おーい、みんなぁ。今日からオレはカリスマデザイナーだ。オレみたいな姿になりたくば、うまいもんひとつと交換で、見違えるほどキレイにしてやるぜ。どうだ、やってみないか」
そう言うと、ジョーは棚からぴょこんと下りた。すると物陰から一匹の子どものゴキブリが興味津々に顔を出す。
「うわぁ、スゲェ……」
子どもが見上げたその先に、ジョーが自信満々な姿で立っている。
「かっけぇ。どうしたらあんなにカッコよくなれるんだ? ねぇ母ちゃん、来て来て!」
「こらフウタ。何してん……」
母親はジョーを見るなり言葉を詰まらせた。
「何あれ……」
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