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新しい自分
山上の家はもはやジョーの独壇場となった。使わなくなった鍋や食器の下、掃除をしない掃除機のパイプの中、そしてエアコンのホースを伝って聞きつけた新しい仲間らが、ジョーの元に集まり始めた。
「ジョー、わあったよ。やってくれよ、俺を。人間を怖がらずに、堂々と生きられる世界を作るんだろ?」
セントは羽を一度羽ばたかせ、黒光りした今の自分を仲間らに見せつけた。目の前には準備の整ったジョーが待つ。ジョーはセントの背中の油を拭い、ペットボトルのキャップに入った白い液体をセントの体に塗りたくった。気門(呼吸する複数の穴)を塞がないように丁寧に塗りながら、触覚の先まで真っ白にする。
おぉーーッ。
辺りから歓声とも聞こえる、驚きの声がひとつになった。
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