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塗った液体はすぐに乾き、下の方にVサインに似せた触覚のマークを入れる。
「他に模様とか入れるか? 実はこの白いのの他に、違う色も作ってみた。まだ試してはないからどんなふうになるかはわからないけど」
セントは黙って頷き、背中を預けた。二人は何を語るわけでもなく、ジョーは思うがままに描き始める。羽の左側は黄緑色、右側はオレンジ色を重ね、汚いイメージを払拭させた。
少しして、ジョーはキャップを持って一歩下がった。
「もう飛んでいいのか?」
「あぁ」
白くなった腕や足を眺め、セントは決心したように羽を広げた。ぶぅんと風を切る姿に鮮やかな色どりが映え、仲間らの注目を集める。
「母ちゃん見て! きれいだね。ぼくもあぁなりたいよ」
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