18人が本棚に入れています
本棚に追加
「校門でそんなに騒ぐ奴が居るなんてな」
もうそれは注目集める事態なので呆れるしかない。
「お姉さんを紹介してくれ!」
正直悩みどころだ。紹介なんてしたくない。
そう思っているとハルねえが俺に向かって手を振っている。逃げられない。
「どうも、渡会くんの友人です。よろしくお願いします」
「ハルくんもう仲良くなったの? 人見知りなのに頑張ったね」
「まあ、な」
「それはもう俺たち親友ですから!」
なんか俺の立場が解らなくなりそうそれはこいつだけが理由ではない。
「おーい! カラオケどうすんだ?」
救いの声があった奴の事をその仲間たちと思われる集団が呼んでいる。彼はひどく名残惜しそうにしながらも「では、また!」とハルねえに敬礼をしてから走り去った。
「面白い子だね」
「面倒だけどな」
一言交わすその時にハルねえは笑顔。
俺はその手を取って歩き始めた。
「中学校の時の友達とカラオケかー。そんな人が多いんだろうね」
「俺らの中学は遠いから他に知り合い居ないし、ハルねえの時もそうだったんだろ?」
「まあねー。こんなに遠くに通うもの好きなんてそうは居ないから」
「面倒だよ」
「でも、ハルくんも第一志望だったんでしょ。かなり難しかったし」
「ハルねえが居るから」
全くその通りの事を言うとハルねえが嬉しそうに体当たりをしている。
「痛いって」
照れているのを誤魔化しているのは解るからそんなに怒らないで笑っていた。
「ハルちゃーん!」
遠いところから聞こえたそんな声は直ぐに近づいた。
「うるさいのが現れたな」
最初のコメントを投稿しよう!