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「もう! 急に言わないでよ」
ニコニコとしているのでとても嬉しそう。
「なんか進学の度に俺たちって近づいてるね」
「ハルくんが進めるんでしょ。告白の次はプロポーズみたいなことを言うし」
ハルねえの言葉に俺は一度腕を組んで横を向いた。
「みたい、じゃなくてプロポーズのつもりなんだけど」
また瞳から嬉しさの涙が流れる。
「そういうのはちゃんとロマンチックな時にお願い!」
とことん嬉しそうにハルねえは俺の方をパシパシと叩いてる。
「じゃあ取り消そうか?」
「ダメ!」
ふっと笑いが消えるとキスをした。今度は唇に。
ちょっと照れ臭い空間。
バスの運転手は居るけれど後ろの方だし、エンジン音も響いて俺たちの事なんて気にもとめてない。
「私もずーっと一緒に居たいな。それこそ切っても切れない兄弟みたいに」
肩を寄せ合い流れる景色は住み慣れた風景になっていた。
「まだ手を繋いで居ようね」
ハルねえは流石にまだ近所では照れ臭いだけど、これまではこんなに家に近くなったら距離を置いていた。前とは違う。
「おかん達が居る」
バス停から数メートル歩くとそこに俺の母親とハルねえのお母さんを見つけた。井戸端会議をしているみたい。周りには他の近所の人も居る。
「いつまでたっても仲良しで、本当の兄弟みたいやね」
会議中の俺の家から三件隣のおばさんが俺たちに気づいてにこやかに笑っていた。もちろん気付かれる前にサッとハルねえは繋いでいた手を離している。
「名前もそっくりだしね」
「それは偶然なんですよ。うちが子供生まれて実家の横に家を建てたら、お迎えさんに遥香ちゃんがいて驚いたんですよ」
「まさか、一文字違いの男の子が居るとは思わなかったから、私たちもそれからは兄弟みたいに育てちゃって」
俺のおかんとハルねえのお母さんが良く言うことをまた話してる。
「仲良しな兄弟で良いんじゃないの?」
誰かの声が聞こえた。ハルねえはそれに微笑んでいたけど、俺はもう一度ハルねえの手を掴んだ。
「俺たち付き合ってるんだ。将来は結婚するから!」
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