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 そして朝まで遊び歩いて、ぼくたちは昨日のような同じ時を過ごした。変わりのない、いつもの日常だ。それが崩れたのは、朝日が登ってだいぶ過ぎた頃。  その日はたまたま彩子もひっついて、ランドマークに帰ってきた。ヒツジコの家を見るとかなんとかで。全然眠そうな様子も見せなかったから、まだ遊ぶつもりだったのかもしれない。  当たり前の日常が壊れるなんて誰も考えていなかった。そう、倉庫の前を通り過ぎるまでは。閉めたはずの倉庫のシャッターが開いていることを発見したのは彩子だった。ユキノジョウが急に血相を変えて走りだす。そうして、叫んだのだ。 「おとぉさん!」  その場にぺたんと座り込んで、無表情にぼくたちを見る。  ぼくたちも言葉はなかった。  オアシスが、屋台がバラバラにされて壊されていたのだ。  ヒツジコが動かないユキノジョウの代わりのように、屋台の破片を拾い上げる。彩子はじっと見つめたまま、綺麗な瞳にその様子を映していた。そこに何かがよぎった。でもぼくは気にしてやれなかった。何か呟いたかのように思えたが、ユキノジョウが心配だった。  ぼくはユキノジョウに駆け寄った。ユキノジョウはぼくを見て「ふふ」といきなり笑いだした。そのまま本当に高く笑いだす。 「いったい誰が……?」  ヒツジコの呟きもユキノジョウの笑いに消されていく。  朝の光が半分だけ倉庫に入り込んで、ぐしゃぐしゃになった屋台を照らしていた。
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