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ボクはもえ花ちゃんと同じ16歳。バイトをしながら地下アイドルをやっている。もえ花ちゃんのグループのような地上アイドルになりたい。その為に電車もないネットの電波もろくに届かない離島からはるばるやってきたのだ。
売れる為には自分が全然可愛いと思えなくても皆が可愛いと思う外見にならなくてはならない。
『艶のある黒髪がとても綺麗だね。』
おばあちゃんに褒められた黒髪をまず最初にブリーチしドーリーなピンク系ブラウンに染めた。その後まめに染め直しと縮毛矯正をしているから痛んでいて触り心地はすこぶる悪いが、見た目は綺麗に見えるようにしているから何の問題もない。髪なんていくらでも生えてくるし。
『あんたのふっくらほっぺが大好きだよ。』
小さい頃からお母さんがそう言っては幸せそうにつついていたほっぺは食べないダイエットでだいぶしぼんだ。大事なのは健康より見た目。若いから健康なんてどうにでもなる。
『お前の八重歯いいよな。』
島にいる時幼馴染みの男の子に言われた。後に『好きだ。』と告白されたけれどボクには恋より夢の方が大事だった。恋なんて大人になってからすればいい。この若さは今限定のものなのだから。八重歯とも恋ともあっさりさよならした。未練は全くない。
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