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コンビニで平野を拾って、助手先に乗せた。 「ファミレスでいい?飲み屋だと、俺、飲めないから」 この街には何もない。花火以外は、たいしたものは何も。小洒落たレストランも、カフェも。 東京ならどこにでもあるようなものがない。 車を走らせて、街道沿いのファミレスに向かう。 駅からも遠いただのファミレスなのにやたら混んでいて、さすが田舎、と思う。まあ、今日は花火の日だからかもしれないけど。 平野はカルボナーラを、俺はハンバーグ定食を注文する。さすが全国チェーン、出てきた料理は、東京もこの街も同じだ。 「どうすんだお前、この後。実家でも友達の家でも、送ってってやるけど」 「んー……どうしようかな」 律儀に自分の分をそれぞれ払って、店を出る。 店の駐車場でもう一度助手席に乗り込む平野の様子を、横目で伺う。 東京から直接来たようなことをさっき言っていた。向こうで浴衣を着付けてそのまま高速バスにでも乗ってきたのだろうか。 ゴロゴロと引きずっているトランクの意味も不明だし、今日の平野の行動は変なところが多すぎる。 いずれにしても、もうこの時間では帰りの特急もバスもないし、帰りたいならこっちで一泊するか、この車で送るしかない。 「どうしても帰りたいなら、送ってやっても、いいぞ」 「……東京まで?」 「まぁ……俺も今、夏休みだからな」 「いつまで、こっちにいるの?」 「あー、予定では、あと2日くらい」
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