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平野の細い手首を掴んで、ベッドに押し付けた。 平野は抵抗もせずにまっすぐ見上げてくるばかりで、いたたまれない気分になる。 「お前、やっぱ俺のこと馬鹿にしてるだろ」 「してない、ただ、賭けに出ただけ」 「……賭け」 「そう、賭け」 「賭けってなんの」 「笹原のメアドがまだ生きているか。笹原がメールを開いてくれるか、待ち合わせ場所にきてくれるか、一緒に花火を見てくれるか。それから……」 「それから?」 「それから……」 流れるようだった平野の口が止まる。 それから平野は、何をどこまで期待していたのか。 「そらから、笹原がもう一度キスしてくれるか」 もう一度キス、ね…… ふと笑う。 「お前、賭けに勝ったじゃん」 平野を押さえつけたまま、顔を近づけて、もう一度キスをした。ああ、だから今日3回目か。 「だけどやっぱり、馬鹿にしてるだろ」 「して、してないよ」 「ここまでされたらね、男は止まらないよ。単純で、馬鹿だから。分かってて誘っただろ……目的はなんだよ。それともなに?ちょっと気が向いて、からかって遊びたかったのか?」 イライラするよな。 そんなふうに扱われても、簡単に反応すんだぜ? ほんと馬鹿みたいだろ。 裸に剥いた平野が目の前にいれば、今すぐにでもめちゃくちゃにしたいと思うよ。 からかわれてたとしても。 俺がもう、平野を好きじゃないとしても。
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