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まだ付けっぱなしだった髪留めに気づいて、慌てて外す。
相当テンパってたことを自覚して、改めて深呼吸する。
「……ごめん、壊れてない?」
「たぶん、大丈夫」
そのまま髪をほどき、撫ですきながら、耳の輪郭を辿ってみると、平野は少しだけ首をすくめる。
「耳、好き?」
「ん……」
「他には?平野の好きなとこ、教えて」
ほんとはもうすぐにでも入りたい。
けど、そういうわけにもいかなくて、平野の体に手を彷徨わす。
「いいよ、もう、して」
「あのなぁ、お前ちょっと、男に甘すぎだ」
「でも、でもさ」
縋るような目で腕を掴んでくる平野の手をそっと外して、指先に口付ける。
「あ……」
「逃げない、逃げないからちょっと、集中しろ」
そのまま手のひら、手首とキスで辿って、肘の下の柔らかな肌に軽く、噛み付いた。
「や、なに、なんで」
「んー?」
「か、噛むの?」
「痛くないだろ?」
「痛くない、けど、んっ……」
「きもちくない?」
「んっあ、分かんない、けど」
不慣れな感じの反応が可愛くてつい笑う。
俺は調子に乗って、あちこちに小さく軽く噛み付いた。
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