123人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺はお前がずっと好きだったからな、誘われたらほいほい来るんだよ」
そのまま突き飛ばすように手を離した。もう、顔も見れなくて、逃げた。
高校生というのは本当に馬鹿だ。
そんなことをすればもう後がないのに、後悔は後から来る。
事実俺はそれから、平野とは一度も口もきかずに卒業した。
それまでは友達だったのに。
キスといっていいものかすら微妙な接触のあとで、友達以下に成り下がったまま。
それから一度も会ってないし、連絡も取っていない。
大学は地元を離れた。平野も確か、離れたと思う。
年末年始やお盆などには地元に帰っていたし、地元には友達もたくさんいて、帰ったときには飲み会なんかもやるから、平野の名前も聞こえてきたりした。でもそれだけだ。
俺が平野を好きだったことを知っているのはたぶん、平野だけだったから、誰にも何も言われなかった。
平野が帰省したりしていたのかどうかは分からない。少なくとも、俺は一度も会わなかった。
大学に入ってから、俺は人生初の彼女なんかもできて、セックスも覚えた。だから、なんとなく人並みにやってるって感じだった。
初めてできた彼女とは半年くらいで別れて、大学時代にはそのあとりふたりくらい付き合って。
就職してからもひとり付き合って、別れて。
まぁでも、一般的なところだと、思うけど。
俺はいま、24。
高2の夏からもう、7年も経つなんて、実感もなくて、すごく驚く。
最初のコメントを投稿しよう!