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その後の笹原はうって変わって余裕もなくて、焦ったように身体を押さえつけられた。 その勢いについていけなくて、一度強く止めると、バツが悪そうにごめんと言う。 いいの、謝ってもらうようなことじゃない。 だって。 「望まれるって、嬉しいよ」 「……あー、あんまそういうこと、言うな」 私としてはちゃんと真面目に正直に答えたのに。彼はまた苛立ったように目を細めた。 ありていに言ってしまえば、笹原とのセックスはすごく、よかった。そんなことがあるのだと知ってしまって、愕然とした。 私は今までほとんど気持ちいいとか思ってこなかったし。セックスは、相手を繋ぎ止めるための手段でしかなかった。 こんなの、知らないよ……知らなかったのに 笹原が私に教えたのはまるで別物で、こんな未知のものを知ってしまって、これから私はどうしたらいいのだと持て余し気味に思う。 こんなの。 セックスがこんなものだと知ってしまったら、また望んでしまうじゃないか。 望んだところで、ほとんど手に入らないと、身をもって知っているのに。 どうしよう。どうしたらいいんだ。 こんな結果になるなんて、全然予想してなかった。 誘ったのは、巻き込んだのは、確かに私の方だったけど。 打ち上がり一瞬眩しく咲く花火のように、勢いで押し切ったその場限りの出来事になるはずだったのに。 どうしよう、どうしたらいいんだ。 こんな、こんなに甘やかされたら、もっともっとと欲しくなる。 未来を望んでしまいたくなる。
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