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一度目が終わった後、花火の夜の熱気にさらされてただでさえベタベタしていた身体をようやくシャワーで流して、倦怠感に任せてベッドに転がっていた時思わず聞いてしまった。 「いま、なに考えてるの」 「とりあえず、夏以外の記憶も、欲しいかなって」 目は合わせてくれないままで、でもそんなことを言った笹原のことをじっと見てしまう。 なにそれ。なんだそれ。 そんな優しいこと、リップサービスで言われたとしても嬉しくなってしまってつい、隣で寝転ぶ笹原の腕を抱きしめてしまって、はっとする。 しまった、調子に乗りすぎたかも。 一度寝たくらいでそんなふうに戯れつくなんてウザいと思われるかもと焦ったのに、笹原はただ、柔らかく頭を撫でただけだった。 「平野は」 「ん?」 「なに考えてる?」 私は……どうしたらいいか分からなくて困ってるんだよ。 自分で仕出かしたことなのに、想像していた以上に笹原が甘くて、甘すぎて。 暖かくて、優しくて、泣きたくなってしまう。 あなたのことが、好きなのかどうかも分からないというのに。 大切にされる自分が欲しくて、もらえるのではないかと期待してしまう。 なんて、浅ましすぎて言えなくて、笹原の胸に顔を押し付けて誤魔化してしまった。
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