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もう一回しようと言った笹原に驚きはしたけど嫌なわけではなく、私はなされるがままに身体を明け渡す。 笹原の指先がまた、ゆっくりと頬から首筋、肩から腕へと辿っていく、その微かな軌跡を追っている。 笹原は優しい。 この優しさは、笹原が誰にでも向ける類のものなのか。 この優しさを、特別だと思って期待していいのか、分からない。 分からないまま、でも笹原が、かつてないほど丁寧に丁寧に触れるので、私はずっと震えっぱなしだ。 「すごいな平野。お前、感じやすいんだな、ほんと」 「そんなこと」 「ほら、集中してみ」 薄く笑いながら言う、その声音にも温度があって、こんなふうに愛おしむように抱かれた記憶がほとんどない私はやはり、戸惑うばかりで。 「さっき、平野はイケないままだったろー」 「え、あ、いや」 「さっきは余裕なくて悪かったよな。次は俺ちゃんと頑張るから」 「あ、でも、あの」 「ん?」 「あの、私、イッたこととか、ないし」 「はぁ?まじで?こんな感度いいのに?嘘だろ?」 「あの……触られて、軽く、はあるかもだけど」 「ああ?あーここでってこと?」 そう言いながら笹原は躊躇いなく手のひらを滑らして、足の付け根を撫でながら一番敏感なところを突いてくる。 「んっ、あっ、んんっ」 「ここなー、まあ、ここならイケるんだろうけど、お前敏感だし、たぶん中でも」 「いい、いいって。なんか今日、いつもより気持ちいいし」
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