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そんな暖かさを、私にもくれようとしているのだろうか。
なぜ?
一夜限りだから?
それともこの先も続くことなのだろうか?
「私、分かんないよ、だって知らないもん」
「教えてやるって、言ってんだろ。いいからもう、集中しろ。気持ちいいの、自分でも捕まえて」
「うん」
目を閉じる。
笹原の手がまた、ゆるゆると全身に届いて、くすぐったいようなもどかしい気配に、ずくずくと疼きを覚える。
こんな、私のために、時間かけなくってもいいのに。
なんて思ったのを見透かしたのか、指先で唇を薄く割られてそのまま口付けられた。
「余計なことばっか考えんなよ」
「そんなこと言われても」
「全くなぁ、卒業してからのお前はたぶん、相当見る目がないんだな。それか、ものすごく運が悪かったのか」
「なにそれ」
「だって高校時代は悪くなかったろ。あいつ、いい奴だし」
ああ、恩田くん?
笹原のことばかり思い出していたから、恩田くんのことは、実はもうあまり印象にないのだけれど、てことは言いづらくて黙っていた。
「どこだろうな、お前の気持ちいいとこ」
「分かんない」
「いいよ、探すから」
笹原はうっすら笑って、少し遠ざかる。
肩にも腕にも胸にもお腹にも脚にも、あちこちに軽く唇で触れて、上目遣いに反応を見てくる。その視線がたまらなかった。
じわりと、体温が上がっている身体にまた汗が浮き、なんだか恥ずかしかった。
「中に指、入れるよ」
「うん」
「いいとこ掠めたら、ちゃんと反応しろよな、へんに我慢すんな。絶対お前、もっと気持ちよくなれるから」
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