4 Fin

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「分かった。これからは、俺がお前を、甘やかしてやる」 上目遣いに向かってくる、探るような視線は、やはり切実で、それで。 ああ、もう、今日は、今日こそ、手は出すまいって思ってたのに。 手のひらを、頬から首の後ろへ滑らせる。 そのままぐっと引き込む。 斜めに倒れ込んでくる彼女の肩を胸で受け止めて、そのまま首を傾げて口付けた。 「あ……」 「……上手くなっただろ?多少は」 「多少っていうか……なにそれ、慣れてる?」 「さあどうだろうな、まあ7年も経てば、人は成長すんだよ」 俺たちは何も知らないな。 この、互いを隔てる空白が、いつか苦しくなったりするのだろうか。 それでも。 綺麗になったよお前 あの頃だって、とても可愛いと思っていたけど もう一度戯れに、唇の端にキスをする。 わざと小さく音を立てる。目元に涙を光らせたまま、ぶわっと赤くなった平野のうぶな反応が可愛くて、笑いながらがしゃがしゃと頭を撫でた。  「本当は、お前んちにだって寄っていきたいけどな。行ったらまた絶対、押し倒しちゃうから」 「別に、いいのに」 案の定そんなことを言う、平野の前髪をちょっとひっぱって弄んぶ。 それが気に障ったのか、かすかに上目遣いで睨んでくるのが、おかしくてとても可愛い。 「連絡して、予定聞いて、待ち合わせて、どっか出掛けて食事して、それからにするって決めてんの、次は」 「なにそれ」 「平野とまたしたいと思ってるけど、別に、付き合おうって言ったのはそれだけが目的じゃないし。だから、そればっか、みたいに思われるの嫌なんだよ。だけど、俺は、俺の決意なんてすぐに裏切るから」
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