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「このままくっついていたいけど、この始末はしとかないとな」
耀くんが下を向いて、急に恥ずかしさが戻ってきた。
「あ、う、うん」
この体勢もめちゃくちゃ恥ずかしい。
脚を閉じようにも、耀くんを跨いでいるから閉じられない。
恥ずかしいから下腹部を手で隠した。
「碧、また顔真っ赤になってる。可愛い」
耀くんがそう言って笑って僕の頬に軽くキスをして、僕を膝に乗せたまま少し動いてティッシュの箱を取った。
僕のお腹とかを拭いてくれたけど、膝から下ろしてはくれない。
「あの、耀くん。これ恥ずかしい…」
訴えても耀くんは僕を抱きしめたまま離してくれなくて。
「うん。ごめん、碧。もちょっとこのまま…。もう今日はこれ以上はしないから」
今日は…。
まだ、続きがあるんだ。
僕を抱きしめる耀くんを、僕もぎゅっと抱きしめ返した。
「可愛いなあ、碧。やばい、可愛すぎて」
ようやく僕から片手を離した耀くんが、手を伸ばしてさっき脱がされた僕のTシャツを拾った。前後を確かめてスポッと頭から被せられる。
「これ以上お前の裸見てたら止まんなくなる」
オーバーサイズのTシャツは、僕の身体を腰まですっぽり隠してくれる。
耀くんに両脇を支えられて、やっと膝の上から下りた。
まだちょっと、脚に力が入りにくい。
「その格好もめちゃくちゃ可愛くてそそるから早く下履いてね」
手早くジッパーを上げながら、耀くんがちらりと僕を見た。
そ、そそるってなに。
僕は慌ててハーフパンツを掴んだ。
僕が服を整えている間に、下だけ履いた耀くんが一度部屋を出て、タオルを持って戻ってきた。
「碧、ちょっとこっち来て?」
ベッドに腰掛けた耀くんに呼ばれて近付くと、くいと手を引かれて膝の上に座らされた。今度は耀くんに背を向ける方向。
「まずは、手」
持ってきた濡れタオルで丁寧に手を拭いてくれる。
小さい頃に、手を洗った時とかおやつの時に、こうやって手を拭いてもらったのを思い出して気恥ずかしい。
「それからお腹ね」
ちょっとごめんね、とTシャツを捲られた。
「タオル冷たい」
「はは、ごめんごめん。夏だし、いいかと思ったけど」
僕の身体を丁寧に拭いてくれて、耀くんは自分は適当に済ませてシャツを着た。綺麗な肩や腹の筋肉が見えなくなって、ちょっと残念に思った。そしてそれを残念に思う自分が恥ずかしかった。
タオルをベッドのヘッドボードに置いて、耀くんは膝に乗せた僕を長い腕でぎゅっと抱きしめた。
「耀くん、重くない?」
「全然。それより幸せ。こうしてんのが」
耀くんの声が耳の中で溶ける。そして僕の内側をとろとろの蜂蜜のように蕩けさせてしまう。
「…明日は、会えるけどこんなに触れないからなあ」
僕を抱きしめながら残念そうな声で耀くんが言う。
「僕もこうやって、耀くんとくっついてたい」
膝の上でもぞもぞと方向転換して、耀くんに抱きついた。
「碧はさ、ずっと可愛いけど今が1番可愛いな。俺のだから」
「なにそれ」
くすくす笑い合って、またキスをした。
耀くんだって今が1番格好いい。僕のだから。
なんて僕は言えないけど。
明日の分も抱きしめ合ってキスをして、途中で耀くんが「コーヒー入れてあげようか?」と言った。
うん、と応えたけれど、その間も離れたくなくて、コーヒーを入れてる耀くんの背中から抱きついて、手元を見ていた。
「やり辛いけど可愛いから許す」
そう言って耀くんは笑っていた。
ソファに並んで座って、甘いコーヒーを飲みながら、さっちゃんに色々助けてもらった話をした。
「さっちゃんって、1番分かんない人だと思ってた。最近まで」
「言えないことがあると、言わないことも増えるからな」
耀くんが視線を落として言う。
さっちゃんは、ちかちゃんが好き。
「ちかちゃんは耀くんのこと好きだもんね…」
「…そのルートでバレたんだよ、お前のこと」
「え?」
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