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(幸い、あの変な女の人はインターホンを押してるだけで押し入って来たりする様子はない。玄関も、母さんが出掛ける時に全部鍵を閉めていってくれたみたいだし)
――ならば、1番気付かれ難い切夜の部屋で、あの変な女性がいなくなるまでやり過ごすのがベストだろう。
切夜はそう判断するや、剛と愛菜を連れて、自分の部屋に入り、念のためドアに鍵をかけた。
「これで安心だ」
剛と愛菜に親指を立て、笑ってみせる切夜。
「あとは、母さんが帰ってくるまで漫画でも読んで過ごそうぜ!」
「うん、そうだね」
若干顔色の良くなった剛も、切夜の言葉に大きく頷く。
「昨日さ?ちょうど、雑誌の最新号を買って貰ったから……見せてやるよ!」
「本当っ?やったぁ!」
―……シタ……―
勇んで、本棚から自慢の最新号の漫画雑誌を取り出す切夜。
「俺のおすすめは、今月号から始まった新連載だぜ」
―……マシタ……―
「へー。そんなに面白いの?」
―……マイリマシタ……―
部屋の電気をつけ、2人で漫画雑誌を覗き込みつつ――はっとする切夜と剛。
(お、おかしい……!)
先ほどから、話しているのは切夜と剛だけの筈なのに――別の誰かの声がするのだ。
2人が話す度、その会話に混じるようにして聞こえてくる謎の声。
抑揚はないが、やや高めの声はまるで女性の声のようだ。
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