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と、切夜達の目の前で女が何か呪文のようなものを唱え始める。
すると、3兄妹の目の前で――女が取り出した小さな箱が光り始めたではないか。
(ど、どうなってるんだ……?!)
切夜は剛と手を取り合ったまま、震えて女を見つめる。
と、女が呪文らしき物を唱え終わったその瞬間、カチリと音がして勢いよく小さな箱が一斉に開いた。
「「っ?!」」
いきなりの出来事に飛び上がる切夜と剛。
(あの箱から何か飛び出して来るのか……?!)
2人はそう身構えていたが、箱の中に入っていたのは――2人の予想に反して、綺麗なアクセサリーだった。
「これ、は……指輪?」
恐る恐る、箱に目を向ける切夜。
3つの小箱には、それぞれデザインが違う指輪が3つずつ納められていた。
金、だろうか……?
柔らかく金色に輝く金属で作られたそれは、とても小さく――まるで、切夜達子供の指のサイズに合わせて作られたようだった。
(この指輪……よく見ると、模様がそれぞれ違うんだな)
美しい金色の妖しい輝きを放つ指輪に見せられたように、顔を近付けてみる切夜。
9つの指輪は、切夜が感じたように――造りこそ同じものの、刻まれている模様が全く異なっていた。
1つの指輪に10個位ずつ刻み込まれている、円のような不思議な模様。
切夜は、その模様に似た物に心当たりがあった。
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