いつもと何かが違う日

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(――これは、異世界ものの漫画とかでよく見る魔法陣に似てないか?) そう思いながらも、指輪に手を伸ばし、持ち上げて太陽の光に翳してみる切夜。 すると、指輪が放つ妖しい輝きに魅せられたのか――剛と、いつの間にか目覚めた愛菜もそれぞれ指輪に手を伸ばしていた。 すると――。 「アナタガタハイケマセン!!!」 かなり強い口調で、剛と愛菜を静止する赤いコートの女性。 が、彼女の声に驚いた瞬間――3兄妹は持っていた指輪を取り落としてしまう。 「いっけね!!」 切夜が落ちいく指輪を慌てて拾おうとした瞬間――まるで、それが「運命」であったかのように切夜の左手の中指の真上に落ちるや、スポリとその指に嵌まる金色の指輪。 一方、愛菜は落とした指輪を拾った瞬間右手の小指に、剛は拾おうとして取り落とした瞬間左手の親指に――それぞれ、指輪を嵌めてしまっていた。 それを見た瞬間、激しく取り乱す赤いコートの女性。 「オオ……!オオ……!ナンテコト……!ケイヤクシャサマガサンニンニナッテシマワレタ……!」 両手を己の頬にあて、赤いコートの女性は深く深くそう嘆き始める。 しかし、彼女は3兄妹の顔を順にじっくり見つめるや、意を決したように――まるで礼拝でもするかのように、3人に向かって深々と頭を下げてきた。 そうして、彼女は入ってきた時と同様、窓枠に両手と両足をかけるや、素早い仕草で外壁を伝い降りていく。 「コレハイッコクモハヤクシーレオウジニホウコクシナケレバ……!!」
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