始まる非日常

2/3
前へ
/117ページ
次へ
(……何か、とんでもないことがあったような気がする……) 未だ若干眠気の残るぼんやりした頭でそんなことを考えながら、アイスに左手を伸ばす。 その瞬間、切夜は全てを思い出した――。 (そうだ……!俺達、変な赤いコートの女に追い詰められて、変な指輪を嵌めたんだ……!) 瞬間、切夜は素早い動作で弟と妹を振り返る。 「剛!!愛菜!!!」 しかし、当の本人達は――まだ意識がしっかり覚醒していないのか、寝惚け眼でぽやぽや辺りを見回していた。 そんな2人に詰め寄るや、「怪我はないか?!大丈夫か?!何かされてないだろうな?!」と2人の頭や体をぺたぺたと触りながら、無事を確かめる切夜。 この時、切夜は「あること」に気が付く。 それは――。 (……指輪が、消えている……?) そう、あの時確かに嵌めた筈の指輪が、3人の指から消えているのだ。 それに、そもそも3人が意識を失ったのは切夜の部屋だった。 でも、何故か……3人とも、リビングに寝ていたのである。 ご丁寧にタオルケットまでかけられて。 (……さっきのは……あれは全部夢だったのだろうか?)
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加