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(……何か、とんでもないことがあったような気がする……)
未だ若干眠気の残るぼんやりした頭でそんなことを考えながら、アイスに左手を伸ばす。
その瞬間、切夜は全てを思い出した――。
(そうだ……!俺達、変な赤いコートの女に追い詰められて、変な指輪を嵌めたんだ……!)
瞬間、切夜は素早い動作で弟と妹を振り返る。
「剛!!愛菜!!!」
しかし、当の本人達は――まだ意識がしっかり覚醒していないのか、寝惚け眼でぽやぽや辺りを見回していた。
そんな2人に詰め寄るや、「怪我はないか?!大丈夫か?!何かされてないだろうな?!」と2人の頭や体をぺたぺたと触りながら、無事を確かめる切夜。
この時、切夜は「あること」に気が付く。
それは――。
(……指輪が、消えている……?)
そう、あの時確かに嵌めた筈の指輪が、3人の指から消えているのだ。
それに、そもそも3人が意識を失ったのは切夜の部屋だった。
でも、何故か……3人とも、リビングに寝ていたのである。
ご丁寧にタオルケットまでかけられて。
(……さっきのは……あれは全部夢だったのだろうか?)
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