53人が本棚に入れています
本棚に追加
心強い味方との出逢い
翌日。
切夜と剛は登校日の為、久しぶりに教室に顔を出す。
「おはよー!……お?」
勢いよく教室の扉を開ける切夜。
すると、そこは――何やら一触即発の険悪な雰囲気に包まれていた。
「え……一体どうしたんだよ?何があったんだ?」
1番近くにいた女子を捕まえ、ひそひそと声を潜めながらそう尋ねる切夜。
すると、彼と同じ位声を潜め、女子が答える。
「何でもね?小山田君が持ってきた外国製のボールペンが失くなっちゃったんですって!」
「はぁ?」
思わず切夜は気の抜けた声を出してしまった。
小山田君というのは、切夜と剛のクラスメートの1人である。
名前は小山田 義実。
父親が大きな貿易会社を経営している為か、よく高そうな文房具を学校に持ち込んでは自慢している――簡単にいうと、いけすかないナルシストな男子生徒だ。
と、切夜達が見ている前で、大柄な義実が目の前の小柄な男子生徒を突き飛ばした。
「おい、お前だろ?!いつも羨ましそうに見てたもんな!お前がやったって分かってるんだぞ!」
まるで、目の前の小さな男子生徒が犯人であるかのように決めつけ、胸倉を掴む義実。
(流石にやり過ぎだろ……!)
いても立ってもいられなくなった切夜は、つい飛び出すと、義実と小柄な男子生徒の間に体を滑り込ませた。
その拍子に、義実は小柄な男子生徒の胸倉から手を離す。
最初のコメントを投稿しよう!