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その瞬間――!
(五月蝿いぞ、人の名前をそう何度も気安く呼ぶんじゃない)
怒ったような若い男の声が、切夜の頭の中に響いてきた。
「っ??!!」
思わず頭を抱えて蹲る切夜。
急に座り込んだ切夜に、陸人や……流石の義実も動揺し、おろおろし始める。
すると、切夜の頭の中の声は、ハッキリと切夜にこう告げた。
(全く。昼間は活動時間外なんだ。お前が探しているモノならば、その持ち主の小僧のキューショクギブクロとやらの中に入っておるわ。探してみるがいい!俺はもう寝る!)
「え?は?えぇ?!ちょっ?!」
急に与えられた情報に大混乱する切夜。
が、切夜にこの情報を与えた「頭の中の声の主」は非常に自信があるようだった。
(……信じて、いいのか?……というか、今の声……どっかで聞き覚えがあるような)
しかし、今は義実の失くなった羽ペンを見つけ出し、この状況をどうにかすることが先決である。
なので、切夜は勇気をもって――2人に告げてみた。
「……なぁ?例えばさ?……その、机の横にかけてる給食着袋の中に落ちて入ったりしてねぇ?」
「……はぁ?!」
切夜の突然過ぎる物言いに、思わず驚きの声を上げる義実。
彼は乱暴に自らの給食着袋を掴むと、切夜達の目の前で逆さまにし、振ってみせながら、告げる。
「あのなぁ?!こんな中に入ってる訳――」
カツンッと高い音を立て、給食着袋から転がり落ちる、いかにも高そうな羽ペン。
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