心強い味方との出逢い

5/5
前へ
/117ページ
次へ
瞬間、義実も陸人も――提案した切夜ですら、一瞬言葉を失った。 が、1番早く我に返った陸人が、ぎゅっと切夜の両手を握る。 「ありがとう!拝君!君のお陰だよ!!拝君ってまるでシーレ王子みたいだね!!」 陸人の余りの喜びように、ややひきつる切夜。 一方義実は、暫し納得がいかないような、憮然とした表情をしていたが――やがて、自分の過ちを認めたのか、素直に「悪かったよ」と陸人に頭を下げた。 こうして、円満に解決を迎えた教室での朝の騒動。 しかし、解決した切夜は胸の内に言い知れない不安を抱えていた。 (実在するらしい魔族の名前に、頭の中の声が告げた通りの場所で見つかった羽ペン……) それらの事実が切夜に伝えているのは――「昨日の昼間の出来事は全て現実だった」ということで。 (……なら、あの消えた指輪は何処に行ったんだ……?) 切夜は、消えた指輪の行方に、強い不安を覚えていた。
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加