愛菜の出逢い

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愛菜の出逢い

――その頃、切夜と剛の妹である愛菜は、庭に父親が用意してくれたビニールのプールで水遊びを楽しんでいた。 「あいなのぷーるー!ぱしゃぱしゃー!」 はしゃぎながら、きゃっきゃと水飛沫を上げてプールの中を走り回る愛菜。 すると――。 「ぐぅ~……」 そんな愛菜の耳に、何か……生き物の鳴き声のようなものが聞こえてきた。 「う??」 水をぱしゃぱしゃして遊ぶのを止め、耳を澄ませてみる愛菜。 と――。 「ぐるる~……」 やはり、聞こえてくる小さな生き物の鳴き声。 声からして、かなり弱っているようだ。 心配になった愛菜は、声を辿り、庭の中をちょこちょこと探し回ってみる。 「あいな、こわくないよー?でておいでー?」 優しく呼び掛けながら、声の主を探し回る愛菜。 すると、ガサリと音がして、庭に垣根の隙間から小さな犬のような生き物が姿を現した。 「ぐらら~……ぐるる~……」 力なく鳴く犬のような生き物。 耳や体毛の様子は、所謂パピヨンと呼ばれる犬種の犬に似ているが――この犬には、1つ変わった特徴があった。 それは――。 「わんこ、はねいぬさん?」 そう、背中に羽のような模様があることだった。 柔らかい紅茶色の毛皮の中、背中にだけ存在する純白の羽のような痕。 しかも、触ってみるとそこだけややふっくらと盛り上がっているようだ。 ともあれ、弱りきっていることには変わりはない。 愛菜はその犬をそっと抱き抱えると、部屋の中に駆け込んだ。 「ままー。はねいぬしんじゃうー!」
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