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そんな風に和やかに朝の食卓を囲む拝家。
と、思い出したように父親の守彦が口を開いた。
「そうだそうだ……言い忘れていたんだけど、今日は父さん、編集者さんと打ち合わせがあるから出版社まで行かなきゃいけないんだよ」
「えー?!父さんのウソつき!今日は俺達と一緒にキャッチボールしてくれるって言ってたじゃん!」
父親の言葉に、ぷくっと頬を膨らませる切夜。
隣の剛も、兄に倣い頬を河豚のように膨らませる。
守彦は、そんな膨れっ面をする息子達の頭を撫で、優しく微笑んだ。
「本当にごめんね?その代わり……お土産に、切夜と剛が好きなお店のケーキを買ってくるから」
「本当にっ?!」
「やったぁ!」
まさに、今泣いた烏がもう笑うという諺の通り、父親の言葉に直ぐに機嫌を直して満面の笑みを浮かべる切夜と剛。
母親であるクリスティーナは、そんな夫と息子達のやり取りを、静かに微笑みながら見守っていた。
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