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そうして、朝食を食べ終わり、少ししてから――スーツに身を包んだ父親がリビングでテレビゲームをする子供達のもとへとやってくる。
「じゃぁ、切夜?剛?愛菜?お父さん、ちょっとお仕事に行ってくるから」
途端に――急に寂しくなってしまったのか、父親の足にしがみついてぐずり始める愛菜。
「やー!あいなもいくー!」
「こーら。お父さんは遊びに行くんじゃないんだよ?お仕事をしに行くんだから。お兄ちゃん達と遊んで待っててね」
父親の言葉に、愛菜は兄達同様ぷくぅっと頬を膨らませると、分かりやすく拗ね始める。
そんな娘に苦笑しつつも、守彦は「ある魔法の言葉」を娘に告げた。
「お兄ちゃん達と良い子で待っててくれたら……愛菜が前から欲しがってた猫ちゃんのぬいぐるみ、買ってこようかな?」
「ねこちゃん!!」
父親の魔法の言葉に、ぱぁぁっと瞳を輝かせる幼い妹。
「あいな、いいこにしてまってる!」
きりっと敬礼をしながらそういう妹の頭を優しく撫でると、鞄を持ち、玄関へと向かう守彦。
切夜と剛と愛菜も、見送りのためとたとたと玄関までついていった。
「じゃぁ、愛菜とお母さんを頼んだよ?お兄ちゃん達」
笑顔でそう告げる父親に、「任せてよ!」と胸を張ってみせる切夜と剛。
そして父親は、出版社へと向かって行った。
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