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それから数時間後のお昼過ぎ。
リビングで切夜と剛が愛菜に絵本を読んでいると、クリスティーナが声をかけてくる。
「お兄ちゃん達、ちょっといいかしら?」
ほんの少し困ったような表情の母親は、呼び掛けに応じて絵本の読み聞かせを止めた2人に、こう告げる。
「実はね?お夕飯の材料を買うのをすっかり忘れてしまっていたの。お母さん、今からちょっと急いで買ってくるから……3人でお留守番しててくれる?」
困惑しきった様子の母親に、「勿論いいよ!」と笑顔で快諾する切夜と剛。
「ありがとう!とっても助かるわ!」
クリスティーナはとても嬉しそうに微笑むと、優しく息子達の頭を撫でる。
そうして、手早くエプロンを外し、ダイニングの椅子にかけるや、エコバッグと財布を手に取った。
「じゃぁ、お母さん、早速行ってくるから」
「うん、気をつけてね!」
子供達の元気な声に見送られ、玄関へと向かうクリスティーナ。
「そうだ、お留守番をしてくれるお礼に、何か買ってきてあげる。何が良い?」
手早く用意をしながらのクリスティーナの言葉に、ぱっと瞳を輝かせる切夜達3兄妹。
「俺、アイス!ソーダ味で棒に刺さってるタイプのやつ!」
と、母を追い掛けてきて切夜が言えば、
「母さん、俺もアイスがいい!味はバニラでね、表面にチョコがいっぱいかかってるやつ!」
剛も出かける支度をする母の手を引きつつ、そんなおねだりをする。
「あいなもー!あいな、ふるーつ!ふるーついっぱいのやつ!」
1番小さな愛菜は、兄達の後を一生懸命についてきて――そう言いながら、母親にぎゅっとしがみついた。
「よしよし。ソーダのアイスバーに、チョコレートでコーティングされたアイス、それに愛菜はフルーツたっぷりのアイスね。ん、わかったよ。必ず買ってくるから。だから、良い子で待っててね?」
「「「はーい!」」」
母の言葉に元気よく返事をする3兄妹。
そうしてクリスティーナは、快晴の夏空の下――近所のスーパーへと買い物に向かっていった。
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